(女性弁護士の法律コラム NO.220)
2016年3月5日、日本弁護士連合会主催で、シンポジュウム「公平な離婚給付を考える」が開催され、参加しました。
場所は、東京の日弁連会館。
とは言っても、東京まで出かけたわけではありません。
最近は、便利なもので、インターネットを通じたテレビ中継により、京都にいながら、東京のシンポジュウムを視聴することができます。
私は、京都弁護士会会館で、シンポジュウムのテレビ中継を観ました。
今回のシンポジュウムは、現在の実務における離婚に伴う財産分与が、本当に夫と妻との間の「公平を確保する」という要請に応えられているであろうか、という問題提起でした。
確かに、現在の実務での財産分与は、たとえ妻が専業主婦であっても、名義のいかんを問わず、婚姻中に形成され残っている財産について、原則2分の1での分配が認めらています。
しかし、例えば、夫の転勤などの理由により、やむなく妻が仕事を辞めたような場合、夫のキャリアは離婚後も継続しますが、妻の方の再就職はママなりません。
また、例えば、夫が自分の収入を自由に浪費し、他方妻が懸命にやりくりして貯蓄を作った場合、それも半分は夫に分与しなければならないのか、など、現実に離婚事件に関わっていると、単純に2分の1にするのでは納得できないケースも少なくありません。
今回のシンポジュウムでは、犬伏由子慶応義塾大学法学部教授による諸外国の財産分与制度に関する講演も交えながら「現実の財産分与は公平か」という問題提起がなされ、わが国の判例や学説の紹介などもありました。
実務の壁を破ることはなかなか簡単ではありせんが、今後、離婚事件において「公平な財産分与」という視点をもっと追及していこうと思いました。
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