(女性弁護士の法律コラム NO.225)
GW前の4月28日夜、「自衛官の人権弁護団・北海道」の佐藤博文弁護士の講演を聴いた。
安全保障関連法が今年3月29日から施行された。
集団的自衛権の行使が可能となり、自衛官の武器の使用が大幅に認められるようになるなど、自衛隊の活動の範囲や質はともに大きく変容した。
自衛隊員は海外で殺し、殺されるかもしれない。
そうした厳しい状況に置かれるのに、自衛隊員の人権や労働環境に関する議論が置き去りにされている。
北海道で、自衛隊員に関連する法律相談や訴訟を多数手がけている佐藤弁護士らは、全国でいち早く「自衛官の人権弁護団」を立ち上げ、自衛隊員や家族のための電話相談や元自衛官を招いた勉強会などを行っている。
佐藤弁護士は、私たちが知らない自衛隊の世界を生々しく語ってくれた。
自衛隊内のセクハラやパワハラ、退職強要、自殺。逆に、「辞めたい」と言っても辞めさせてもらえない、等々。
しかし、自衛隊員も、日本国憲法で人権が保障されている主権者である。
ドイツでは、「兵士である前に市民」という考え方があり、違法な命令や人間の尊厳を侵すような命令には従わなくていいとされている。また、労働組合のような組織があり、監視のため議会直属のオンブズマン制度もある。
また、アメリカには、戦死遺族の補償や帰還兵の治療支援に当たる体液軍人省があり、日本の防衛予算を上回る膨大な予算が付いている。
現役の自衛官が自ら声を上げることは難しい。
家族からの声を少しでもすくい上げることが求められている。
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