(女性弁護士の法律コラム NO.231)
「また、電通か!」という思いで一杯です。
2016年10月7日のニュースで、広告会社大手の「電通」に勤務していた女性新入社員(当時24歳)が昨年12月25日自殺し、それが長時間の過重労働が原因だったとして労働災害が認められたことを知りました。
「電通」という会社は、日本でも最大の広告代理店です。
私たち過労死や過労自殺を扱う弁護士にとっては、2000年3月24日に最高裁が言い渡した「電通事件判決」はバイブルのようなすぐれた判決で、過労死事件訴訟では必ずと言ってよいほど、その判決の内容を書面に引用したりします。
実は、電通では、1991年にも入社1年5ヶ月の男性社員が長時間労働が原因で自殺しました。
年齢も今回と同じ24歳でした。
遺族が起こした裁判で、最高裁は、従業員の過労自殺に関わる民事上の損害賠償請求について、因果関係を初めて認めたのです。
最終的には、会社が約1億6800万円を払うとの内容で和解が成立したそうです。
そして、今回。
報道によると、亡くなった女性社員について労基署が認定した1ヶ月の時間外労働は、約105時間にものぼったそうです。
会社は、2000年の最高裁判決をどのように受け止めていたのでしょうか?
命の重みがわからない企業の体質に憤りを禁じ得ません。
折しも、同じ7日、厚生労働省は、過労死の実態や防止策の実施状況などを報告する「過労死等防止対策白書」を初めてまとめました。
過労による犠牲者を出さないよう、国はもっと指導監督や法的整備を行うべきです。
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