(女性弁護士の法律コラム NO.233)
自衛官の息子を持つ北海道千歳市の50代の母親が、自衛隊の南スーダンPKOへの派遣は憲法違反として、国に対し、派遣差し止めと撤退などを求めて、札幌地裁に提訴しました(2016年12月1日付け赤旗)。
南スーダンPKO派遣問題で、自衛隊員の家族が訴訟を起こしたのは初めてです。
安倍政権が新たに付与した「駆け付け警護」の任務は、12月12日から実施可能とされています。
原告である母親は、今回の派遣は、本来任務である「国土の防衛」から逸脱しており、一母親の立場から疑義を唱えるべく行動を起こすことにしたと提訴の理由を語っています。
「普通の母親なら自分の息子が危ない状況に立たされた時、だれもが持つであろう気持ち、その1点で行動しています」と。
稲田大臣のたった7時間の南スーダン滞在で、どうして「安定している」などと言えるのでしょうか。
11月に青森から自衛隊が南スーダンに出発して以降も、次々と南スーダンの現状の危険性、いつ戦闘となるかわからない状況が報道されています。
自衛隊員が他国の人を殺し、あるいは殺されてしまう危険性は極めて現実的になっています。
20万人の自衛隊員の命と家族の悲痛な思いの上に、「駆け付け警護」の新任務などの違憲性を問う重要な意義を持っている裁判です。
- HOME
- 弁護士紹介
- 村松いづみ
- 女性弁護士の法律コラム
- 自衛官の母、南スーダンへの派遣差し止め提訴
女性弁護士の法律コラム