(女性弁護士の法律コラム NO.240)
10月27日、京都弁護士会で開催された刑事弁護講演会に参加した。
若い頃には刑事弁護も数多く担当したが、現在は、刑事弁護事件は持っていない。
でも、今回の講演会は、警察によるGPS捜査事件で最高裁判決を獲得した亀石倫子弁護士(大阪弁護士会所属)の講演だったため、どのような弁護活動をして最高裁判決にまで至ったかとても興味があり、参加することにした。
講演のタイトルは「刑事弁護は社会を変える」。
これから法曹になっていく司法修習生の研修の1つとしても位置づけられていた。
亀石弁護士は、コメンテーターとして、時々、テレビで見かけるが、実際に話を聴いたのは、初めて。
就労経験はあるものの、まだ30代で、弁護士経験は7年という若手だ。
以前にブログでも書いたことがある(ダンスの)クラブ風営法違反事件にも弁護団の一員として関わっていたことを知った。
新聞報道されるような裁判事件の場合、新聞では判決の結論(勝訴あるいは無罪)しか報道されないが、弁護士としては、どのような訴訟活動をしたか、どのような証拠をどうやって入手したかなどが気になるところである。
GPS捜査事件でも、警察がGPS捜査をしていることについて、どのように資料を収集し、争っていったかの話が勉強になった。
ただ、弁護士としてもっと大切なことは、直感的に「GPS捜査がおかしい」として争うという感性や意欲を持っているかどうかだと感じた。
亀石弁護士だったからこそ、最高裁まで争ったのであり、これが他の弁護士であったならば、もしかしたら、スルーされたかもしれない。
例えば、これまでに社会的に注目された、公害事件、薬害事件、無罪事件などでも、やはり「これは、おかしい」という弁護士の感性と行動がなければ、行政や司法の壁は破ることができなかっただろう。
単に法律書を読むだけでなく、世の中で起こる様々な事象に目を向け、自分自身の感性を磨いていくことが弁護士に求められる姿勢だとあらためて思った。
※GPS捜査違法事件については、当事務所のホームページの「最新判例:刑事」で紹介しています。
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