(女性弁護士の法律コラム NO.246)
2019年5月1日に新天皇が即位することにともない、元号が変わります。
そして今日4月1日午前11時半過ぎ、新しい元号が「令和」であることが発表されました。
元号については、元号法という法律が1979(昭和54)年制定されましたが、この法律には条項が2つしかありません。
「1 元号は政令で定める。」
「2 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」
改元に伴い、新聞等で元号についての歴史などを解説したものをいくつか目にしましたので、以下、簡単にまとめてみました。
元号制度は、もともとは中国を起源とするもので、皇帝が時をも支配するという思想にもとづくものだそうです。
しかし、現在では、中国でも使用されておらず、時の始まりとしての元号を使用するのは日本だけと言われています。
元号が制度として確立したのは、701年「大宝」から。日本書記では、最初の元号は「大化」(645年)とされていますが、出土した木簡に大化と書いたものはないそうです。
改元も、必ずしも天皇の代替わりでなくても、何かめでたい時にもなされることが多かったようです。
後醍醐天皇は、在位21年で8回、孝明天皇は在位21年で6回改元しています。
また4天皇にわたり約100年間改元がなかった時代もありました。
江戸時代は、幕府の許しがなければ改元できなかったし、元号を決定したのも幕府だったそうです。
一世一元は、1868(明治元)年から始まり、1889(明治42)年の旧皇室典範で法制化されました。
逆に言えば、これは、「天皇は在位中に元号を改めてはならない」として、天皇が随意に改元することが禁止されたという側面を持つようです。
戦後、新憲法のもとで、旧皇室典範は廃止され、元号は法的根拠を失いましたが、1979年に前記の元号法が制定されたという経緯です。
元号法では、前記のとおり「元号は、政令で定める」と規定されており、天皇の関与はなく、発令主体は内閣です。
法案審議の際には、元号の使用を国民に強制するものではないとの政府答弁がなされています。
あらためて元号を考えると、今では「時代の区切り」としての意味しかないように思えます。
それも、マスコミが「昭和の時代」「平成の時代」と区切って、それぞれの時代に発生した出来事から特徴づけようとしているだけで、昭和から平成にかわった1989年に区切るべき何かがあったわけではありません。
それは今回も同じで、2019年4月と5月とで、私たちの日常に特別の変化はありません。
ですから、今回のこれだけの騒ぎには、マスコミがあおっているような気がして違和感を感じます。
私は、可能な限り西暦を使うことにしています。
これまで裁判所は元号だけを使用しています。ですから裁判所に提出する書面には、やむなく西暦と元号を併記しています。
裁判所は、例えば、金銭の長期の分割払いで和解する場合、30年後までの分割払いであれば、和解調書に「平成61年まで」のように記載し、西暦は絶対に記載しません。
西暦への読み替えが煩雑で、非常にわかりにくい記載方法です。
外務省などは、これからは原則西暦と考えているようで、国際化の今日、裁判所も西暦に変更してほしいと思います。
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