奨学金の保証人の返済義務をめぐり、札幌地裁で、2021年5月13日、初めての判決が下されました。
これは、日本学生支援機構が半額の支払義務しかない保証人に全額を求めてきた事案で、知らずに全額を返済してしまった保証人が過払い金の返還等を求めた訴訟です。
2018年の朝日新聞の報道によると、機構は、過去8年間に延べ825人に総額13億円を全額請求し、9割以上が応じたとのことです。
単なる「保証人」は、連帯保証人と異なり、「分別の利益」(民法456条)があります。
保証人が2人以上いるとき、連帯保証人は全額返す義務がありますが、単なる保証人は頭割になります。
ですから、奨学金のように、連帯保証人と保証人が1人ずついる場合には、保証人は半額だけ返済すればよいわけです。
判決は、「分別の利益」は保証人が主張しなくても効果が生じるとし、「分別の利益」を知らずに返済してしまった場合には、不当利得として返済を求める権利があると判示しました。
当然の判決と思われます。