子どもの法律上の父親を決める「嫡出推定」を見直す民法の改正が、2022年12月10日成立しました。
現行民法では、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定すると定められています(772条2項)。
そのため、例えばDVが理由で夫と別居し、別居中に別の男性との間の子どもを妊娠した場合、夫と離婚してもその後300日以内は前夫の子と推定されてしまうため、出生届を出さないというケースが少なからず存在しています(無戸籍児)。
今回の改正は、この無戸籍児問題の解消が目的で、離婚後300日以内に生まれた子を前夫の子とする規定は維持するものの、女性が出産時点で再婚していれば、現夫の子とする例外規定を設けました。
ただ、2020年の調査では、嫡出推定に起因する無戸籍者のうち、例外規定で救済される「再婚後の子」は4割程度と言われています。
離婚後300日以内に再婚できないケースには適用されません。
その他の改正点として、
・女性の100日間の再婚禁止期間が撤廃されました。
・夫にのみ認められていた嫡出否認の権利が子と母にも拡大されました。
なお、施行後1年間は施行前の出生も対象となります。
・虐待防止のため「懲戒権」の規定を削除し、体罰禁止を明記しました。
公布から1年6ヶ月以内に施行し、それ以降に生まれた子どもに適用されます。