仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症した場合に、それが労働災害にあたるかどうかの認定基準は2011年に策定されましたが、それが、2023年9月1日、12年ぶりに改正されました。
主な改正点は、下記の4点です。
①心理的負荷(ストレス)の具体的出来事に、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」こと(いわゆるカスタマーハラスメント)が追加されました。
②心理的負荷(ストレス)の具体的出来事に、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」ことが追加されました。
③心理的負荷の強度の具体例が明記されました。
例えば、カスタマーハラスメントで、心理的負荷の強度が「弱」「中」「強」になる例がそれぞれ挙げられています。
④精神障害が「悪化」した場合の業務起因性の判断が変更されました。
業務以外で既に発症していた精神障害が、業務によって「悪化」した場合の労災認定の範囲を見直しました。
従来は、「悪化」前おおむね6ヶ月以内に「特別な出来事」(特に強い心理的負荷となる出来事)がなければ、業務と「悪化」との因果関係が認められませんでした。
しかし、今回の改正では、「悪化」前おおむね6ヶ月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による心理的負荷」により悪化したと医学的に判断されるときには、業務と「悪化」との間の因果関係が認められます。
ただ、「悪化」の基準は明確には示されていません。
この新しい認定基準は、厚生労働省のホームページに掲載されています。