地方住宅供給公社が借主の合意を得ずに、一方的に家賃を増額できるかどうかが争われた訴訟で、最高裁は、2024年6月24日、公社物件であっても借地借家法が適用され、家賃の増減額について争うことができるという初めての判断をしました。
争ったのは、神奈川県住宅供給公社の賃貸住宅に住む住民ら8人。公社が行った家賃値上げについて、「適正賃料を超えている」と主張し、過払い分の返還を求めて2020年に提訴しました。
借地借家法は、住宅市場の変動などに応じて、貸主と借主双方が、家賃の増額・減額を争うことができると定めています。
一方、公社法施行規則は「近隣の同種住宅の家賃が上回らないよう定める」としており、神奈川県住宅供給公社は、訴訟で、借主の同意なく家賃を変更できると主張していました。
1審横浜地裁・2審東京高裁は、公社の家賃は一般の賃貸借とは異なるとして、借地借家法の適用を認めませんでした。
これに対し、最高裁は、施行規則は補完的な基準を示したもので、借地借家法の適用を排除する規定ではないと判断しました。
これによって、借主側が家賃の減額を請求することもできますし、公社の値上げに対して争えるようにもなりました。