1. (最新判例:労災)労災認定、事業主に不服申立の権利なし(最高裁)
女性弁護士の法律コラム

2022年12月9日付け当ブログで御紹介した同年11月2日付け東京高裁判決。労災認定につき、事業主が不服申立をすることができるという酷い判決でした。

 

最高裁がどんな判断を下すか心配していましたが、2024年7月4日、事業主は不服申立てはできないという判決が下りました。

 

ホッとしました。

事業主の不服申立の権利が認められれば、一度、労災認定が下されても、確定までに時間がかかる上、後から取り消されるおそれもあって、労働者の早期救済という労災制度の趣旨が不安定になるおそれがありました。

 

最高裁は、労災保険には労働者の早期救済という目的があり、事業主の不服申立てを認めれば、この趣旨が損なわれると指摘しました。

 

国は、上記高裁判決後、労災認定があると保険料増額という不利益を受ける事業主側にも配慮し、2023年1月から、保険料の適否を争う手続の中で、労災認定への不服も主張できるように運用を変更しました。この対応については、最高裁は追認しました。事業主の不服申立てが認められれば保険料引き上げは取り消されますが、労災認定まではさかのぼらず、労働者が給付金を返金する必要はありません。

 

 

 

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