最近、カスタマーハラスメント(カスハラ)による被害が深刻化しているとの報道をよく目にしますが、客から著しい迷惑行為を受けたカスハラなどで精神疾患を発症した男性社員(当時24歳)が2020年8月に自殺した事案で、千葉県柏労働基準監督署は、2023年10月、労災と認定しました(2024年7月23日付け読売新聞朝刊)。
この男性は、埼玉県の住宅メーカーに勤務し、注文住宅販売の営業を担当して千葉県内の住宅展示場で働いていました。
男性は、2020年2月、住宅新築中の客に追加費用が必要になったと説明したことをきっかけに、この客から叱責を受けるようになりました。8月には現場監督と一緒に顧客宅を訪問し、謝罪もしていました。
労基署は、精神障害の労災認定基準にある「顧客らから対応が困難な注文や要求を受けた」「顧客らから著しい迷惑行為を受けた」にあたると指摘し、強い心理的負荷がかかり、精神疾患を発症したと判断しました。
「著しい迷惑行為」(カスタマーハラスメント)については、厚生労働省が2023年9月、カスハラの類型に位置づけ、労災の新たな認定基準に加えています。
担当した弁護士は、今回は、男性の携帯電話に残されていた通話の音声記録があって、認定の決め手の1つとなったとのことです。やはり証拠を収集しておくことが重要です。