1. 2023年9月

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一方通行の道路で、バックしたら違反?

大阪地裁の判決(R3.10.29)の事案では、自動車と自転車の事故の過失割合を自動車100:自転車0としています。

この事故は、一方通行の道路を、自動車がバックをしているとき、後ろから来た自転車(自転車は一方通行の方向に進んでいた)が、自動車がバックしているのに気がついているのに避けなかったこともあり衝突したというものです。この場合、自転車が意図的に当たりに行ったのであれば、過失ではなく故意責任を問われそうですが、避けられたのに避けなくても過失相殺における過失はないと判断されました。その際、判決の中では、自動車は、「一方通行違反をしながら道路右寄りを進行した」(つまり「逆走」した)として一方通行違反だから、自転車よりもはるかに大きな違反があるので過失相殺されないとしたものです。

一方通行道路を、バックしたら逆走だというのは、場面によっては、ちょっとどうなの?と思うところもありますが、一方通行の道路でバックする場合には普段以上に気をつけないといけないということなのでしょう。

ただ、理屈で詰めていくと、対抗できる道路(センターライン有)で、バックすると、センターラインオーバーの逆走と扱われてしまうことにもなりそうですので、本当にそれでいいの?という疑問はあります。とはいえ、民事上の認定であって、行政上一方通行違反で青切符を切られたというような話ではないのでそんなに目くじらを立てることもないのかな(高速道路のとりつけ道路等なら仕方ない気もします)。

なお、この事案の結果は、請求額と認容額とを比較すると、妥当なのかなとは思います。

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