弁護士登録した頃からずっとかかわってきた再審事件で、請求人であった無実の人が命を落とした。生きている間に助け出せなかったことが悔しい。
これを受けて、高裁は、現在係属中の即時抗告審の終結を伝えてきた。
再審手続きには、再審を開始するかしないかを決める前に請求者(無実だと訴えている人)が亡くなったときにどうするのかという規定を置いていない。大昔(旧刑訴法の時代)最高裁は、訴訟の「受継」の規定がないことを唯一絶対の根拠に、遺族らへの「受継」を否定した。
しかし、規定があるか無いかということであれば、「受継」の規定はないが、「終結」するとの規定もない。
通常の刑事手続きでは、被告人が死亡した場合には公訴を棄却する、と定めている(339条1項4号)。「公訴棄却」ということは、「終結」である。
再審手続きでは、そのような規定を欠く。
ということは、規定がないというだけでは、「死亡」=「終結」という結論にはならないはずである。
再審を請求をすることができるのは、有罪の言い渡しを受けた人だけではない。その人が死亡した場合にはその配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も請求権者とされている(439条)。死んだら終わり、なのではない。
それなのに、49日を待つまでもなく(待ったからいいというわけではないが・・)、いきなり終結をしてしまってもいいのか。
人の人生を台無しにした司法の誤りをこんな形で(いったん)葬り去っていいのか。全くもって納得できない。