『公訴時効』、これは一定の時間の経過によって、その後になってようやく犯人が分かっても、処罰できなくなる制度のことを言います。
被害を受けた側からすれば、これでは被害者がうかばれない、逃げ得じゃないか、という事にもなりそうです。
しかし、逆に、10年も20年もたってから、突然「お前が犯人だ! 違うのならアリバイを証明しろ!」なんて言われたらどうしますか。全く身に覚えがない、しかし、捜査官は、「証拠がある」という。
昨日のお昼ご飯何を食べたかだって怪しいのに、20年前の1991年9月3日何をしていたのか、なんて、覚えている人はまずいないでしょう。何もやってなくても、怪しげな証拠を突きつけられれば、あっという間に冤罪のできあがりとなってしまいます。
そんな事(証拠の散逸)も根拠の一つとして、犯罪によって、一定の期間が経過すれば、捜査もできなくなる訳です(処罰できないのに逮捕・勾留などされたら大変な事ですよね)。
そんな公訴時効の制度が、殺人など一定の犯罪については、(強い反対意見があったにもかかわらず)廃止されてしまいました(期間が延長された犯罪もあります)。刑事弁護をする人がよく使っている刑事・少年事件用の六法(2010年版)にはまだ反映されていません。条文を数回読んだだけでは、何がどうなっているのか、さっぱり分かりません。
それはともかく、「改正」により、えん罪事件が増えることが無いように、例えば、いったん眠ってしまっているような事件の捜査を再開できるためには、普通なら間違いがないというような新たな証拠の存在を要件とすべきでしょう。まだその点についての立法上の対処が出来ていません。今後の課題と言えます。