1. 最高裁の金銭感覚?
岡根弁護士のぼやき論壇

最高裁の金銭感覚?

とある県の選挙管理委員会等の委員、ほとんど働きもせず、月平均2日に満たない(1.89日)会議等の出席のみで、なんと、月額報酬を20万2000円ももらっていた。

1日当たり10万7000円。これは、国の非常勤職員の報酬の上限をとっても3倍を超える。
本来の規定(条例)では、日額報酬制をとることにしており、職務の性質や職責、負担などを考慮して、月額報酬制等を採用することも可能であるとする。 そして、それが著しく裁量の範囲を逸脱しないのであれば、問題は生じないと考えてもいい。 たしかに、会議に出席するだけではなく、それに向けた準備、資料の収集、検討など、会議以外にも費やす時間、労力を考慮すれば、単に日額でのみ判断されるのは堪ったものではない、という場合もあるであろう。
しかし、今回のケース、会議以外での仕事って何? 何やったの? といいたくなるような内容で、日額制をとっても、その日額に準備などの負担も織り込み済み、と考えられる程度のものしかないように見受けられる。
しかし、これでも、最高裁判所は、「不合理とは認められ」ないと判断した(2011年12月15日第1小法廷)。
ところで、受験生の頃、家計を支えるために、週5日(時々土曜日も入る)8時間フルに働いて、15万円位にしかならなかった。  それが、2日で20万円。
しかも、その1日も場合によっては1~2時間の会議のみ。
たしかにその委員は、なんかあった時の責任は重いでしょう。でも、それはあくまでも抽象的な責任に止まっている。おそらく、具体的に県を代表して矢面に立ったなんてことはないはず。
いったいいくらくらいなら、最高裁判所は、「不合理」と考えるんだろう。
あまりに、私のような庶民の感覚とずれていて、唖然とする。
まぁ、今回のケース、原審で原告側が一部勝訴していたため、県が報酬制度を見直し、日当制にしたので、かなりの節約になったはずである。委員会での会議などのペースがこれまでと変わらないのだとすると、委員1人だけでも年間約180万円の税金投入を阻止したことになる。
市民ウォッチャー・京都などで行政監視の活動をしている我々からすれば、最高裁では敗訴したが、目的は十分に達したと評価できる(今回のケースでは弁護団員ではありませんが)。
それにしても、何でもかんでも行政の「裁量の範囲」と言い続ける裁判所の発想は何とかならないのだろうか。

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