1. 学生ローン(奨学金の実態)
岡根弁護士のぼやき論壇

学生ローン(奨学金の実態)

先日の相談で、訴状を持ってこられた。 日本学生機構が原告になっている。
要は、奨学金を借りていた元学生に返済が滞っているから、遅延損害金を含めて全額支払え、というもの。 同封されている「和解したかったら、こういうものを提出せよ(事前に機構に送付を求める)」には、まず、就職先を明らかにして、給与明細等を出せ、というものだった。
 つまりは、今後滞ったら、給与を差し押さえますよ、ということだ。
 通常であれば、そんなもの教える必要もないのであるが、普通の債務整理であれば多分債権者はのまない長期の分割案が示されており、かつ、(こっちが重要であるが)連帯保証人がいるので、無碍に拒否できないのだ。  そして、これらの提出をしなければ、和解はあり得ない、と表示されている。
 なので、一括で支払えない場合は(普通は支払えない)、破産もできないので、飲むしかない立場に追いやられる。そして、職場を把握され、今後滞ったら給与差押となるのだ。
 これが、今の「奨学金」の姿だ。 国立でも学費が年間100万円という時代、奨学金無しには生活できない家庭が多数を占める。 その上、就職しても、10年前と比べると平均的な収入が月額10万円近く減少している。 ひとりで生活する費用を捻出するのが精一杯で、返済する余裕もない。 これでは、結婚して家族を維持していくことはできない。少子化がますます進行する大きな要因である。
 ところで、その訴状、表示されている代理人はどうも弁護士のようであったが、事務所名の記載がない。
学生機構のインハウスかとも思ったが、表示されている住所が違う。 これはどういうことなのか。
弱みにつけ込んだ、すごく横柄な、人をバカにしたような態度に思えてならない。

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