運転免許の更新の際、免許証に表示するために写真を撮ります。 その写真が、運転免許証以外に使われている、ということをご存じでしょうか。
刑事弁護をしている弁護士間の交流の場で、面割り台帳の写真に運転免許更新の際の写真が使われているということが明らかになってきました。 もちろん、本人の同意などありません。勝手に使われているのです。 そのような使い方はおかしいのではないか、端的に違法ではないか、と争ったようなのですが、検察官は、何の問題があるんですか、という態度で、判決も、特に大きな問題はない、と判断をしたとのことでした。
面割り台帳、というと、「この中に、犯人と思われる人の写真は含まれていますか?」と言って見せられる数名の写真が並んでいる写真集と思ってください。 確かに、その台帳にその写真の氏名等は記載されていませんし、過去に犯罪を犯した(ないし疑われた)時に撮った写真と言われているわけでもないので(公開もされていませんし)、実害はない、と言おうと思えば言えるのかも知れません。
でも、ちょっと考えてみてください。免許更新に行って写真を撮られるとき、この写真が犯罪捜査の中で「犯人かも知れないリスト写真」として勝手に使いますよ、と説明されたら、そんな写真撮影を気持ちよく行えますか? 撮影拒否をしたら免許を渡しません、と言われたら、やむなく撮影には応じる方が大半だとは思いますが、そんな負担を庶民に与えていいんですかね。
それを、たいした問題ではない、と思っている、裁判官や検察官には、正直ゾッとします。 この人たちの人権感覚ってこんなもんなんだ。 まずないことだとは思いますが、面割り台帳の写真(普通警察の捜査段階で使用)に取り調べた検察官(あるいは裁判官)の写真があったことが後で分かったら、それでも、その検察官(裁判官)は、たいした問題ではない、と心底思えるのでしょうか。