4年に一回しか投稿しないオリンピック級の筆無精であるため、今後も投稿するかは定かでないですが、ちょっと気になった判例があったので、投稿します。
発信者情報開示請求事件という事件名だけ見ても法律に明るくない人的にはよくわからないと思いますが、「しょせん他人事ですから」という漫画でよく取り上げられている事件です。
簡単に言えば、SNSなどで投稿された発言や写真等について、どこの誰が発信者かを特定するための手続です。今回紹介するのも、ウェブサイトに投稿された写真について問題とされています。
詳細は省略しますが、著作権の幇助侵害となると裁判所で判断された写真をウェブサイトに投稿したことが著作権(複製権、公衆送信権、送信可能化権)を侵害しないかが争点となった判例です(東京地判令和5年3月30日参照)。結論から言えば、セーフとされました。なぜでしょう?
著作権法には41条という、時事報道のために正当な範囲だったら、写真をアップしてもいいという規定があり、この適用により権利侵害性を否定されました。もちろん、時事報道のためなら何でもかんでも投稿してもいいわけではなく、意訳すると、写真が事件の中心的存在であり、その事件の過程で既に見られているものという条件が付きます。今回は、この条件に該当したため、投稿者は難を逃れたというわけです。
SNSが一般に浸透して結構経ち、便利なところがある反面、こういう紙一重な事案もあります。司法試験受験生時代の知的財産法選択の血が湧き上がり、前のめりに投稿しましたが、皆さんも写真を投稿する際には「ちょっとこれ大丈夫かしら?」と少し立ち止まってみてもいいかもしれません。