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「過労自殺」事案で、労災認定!
当事務所佐藤弁護士とらくさい法律事務所古川拓弁護士が、共同して
取り組んできた事件です。
2009年3月末に、下労働基準監督署において、「過労自殺」の事案に
ついて、業務に起因するものとして、労災認定をえることができました。
民間病院に勤務されていた若い女性の事務職員の方が、診療報酬の制
度の改定と障害者自立支援法施行に伴う制度変更が重なる中、その実施
に向けて多忙な状況に置かれ、心の病を発症し、自ら命を絶たれたもの
です。
お母様が、娘さんが亡くなられ相談にこられた経過があるのですが、
ずいぶんと悩まれ、亡くなられて2年以上経過した後に労災申請に至り
ました。
この数年の間に、多くのメンタル問題に関連する相談をいただくよう
になり、労災申請に至る事案も多くなりましたが、厚生労働省の精神障
害に係る労災認定に係る判断指針には、「こころの病」発症の経過や実
態にまだまだ即したものとはなっていないように思います。
発症時期を前提にして、その前の6ヶ月に生じた業務上の出来事を対
象にしての判断が行われることとなっており、発症時期のとらえ方によ
っては、ご本人がもっともしんどく強い影響を受けたとの実感があって
も、それが発症時期の後であれば考慮の対象とならないという考え方や、
一つ一つの業務における出来事の評価そのものについても、形式的な当
てはめが行われてしまうと、実態とは異なる判断になってしまうことが
あるように思います。
労災申請の経過の中では、一つ一つの出来事について深い掘り下げが
必要になり、いろいろな方々の協力により被災者の方の勤務状況をどれ
だけ再現していけるかが大きなポイントとなります。
今回、これまでの過労死・過労自殺における認定の経験・教訓を生か
した取り組みの中で、様々な方々の協力により認定を勝ち取ることがで
きたことは、大きな喜びです。
しかしながら、この間のメンタルヘルスに関する相談を多く受ける中
での実感としては、職場におけるメンタルヘルス対策を本当に充実させ
ることが必要であり、そうした対応をとることは、会社経営においても
極めて重要なことであると思います。
(2009年6月)