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福山弁護士の「飲み法題」


       

沖縄で考えたこと

 今月も、沖縄の話を少し。今年2月に、沖縄市で米兵による少女暴行事件が発生しまし た。最近、沖縄に行く機会があったので、その事件現場も見てきました。少女が米兵に声 をかけられた場所は、ライブハウスやカラオケボックス、ハンバーガー店、飲食店、衣料 品店、雑貨屋さんなどがある総合アミューズメント施設で、普段から中高生も多数出入り しているところでした。又、米兵が車内で犯行に及んだ現場は、住宅街の真ん中で、マン ションや一戸建ての住宅が建ち並び、何とすぐ横には児童公園と保育園までありました。 私の住んでいる左京区を例に取ると、さしずめ「カナート洛北」で連れ去って、近くの保 育所の横で暴行するというようなイメージといえばわかっていただけるでしょうか(ロー カルな話ですみません)。  言いたかったのは、特別危険な場所ではなく、沖縄の人々にとっての日常生活圏の中で この事件が起こったということです。政治家はすぐに「基地との共存」と軽く言いますが、 それは日常生活圏の中に、こうした危険を抱え込むことを意味するのだということに驚き を感じました。私にも娘がいますので、その不安は想像するに余りあります。  沖縄の米兵は基地の中だけでなく、基地外にも相当数が住んでいます。基地外居住者を 目当てにしたマンション等も多数存在しており、事件現場付近のマンションも多くは米軍 向けのものでした。そういうマンションや一戸建ての多くには、不気味なことに表札も出 ていません。駐めてある車のナンバーが、いわゆる「Yナンバー(米軍関係者の車ののナ ンバープレートには、五十音1文字の部分の代わりに「Y」とか「A」などのアルファベ ットが書かれている)」なので、米軍関係だとはわかりますが、一体誰が住んでいるのか もわからない。  沖縄市の隣、北谷町には米兵用の高級住宅がずらりと建ち並ぶ一角があります。町の人 口の相当割合がもはや米兵とその家族で占められていることがわかります。彼らの住む住 宅の家賃は月24万だそうです。それを私たちは、いわゆる思いやり予算で全額肩代わり しており、彼らは一銭も払わずに、ゆったりとしたテラスに衛星放送、、バーベキューセ ットまで備え付けの高級住宅でリッチな生活を送ることができるのです。アメリカにとっ てこんなに至れり尽くせりの「同盟国」は日本以外にありません。  3月23日には、沖縄北谷町で、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大 会」が開催されました。問題が起こるたびに、米軍は綱紀粛正を言いますが、今までこれ が守られたためしはありません(ちなみにドイツにも米軍基地がありますが、あちらでは 米兵が少女暴行事件を起こすなど考えられないそうです。なぜアジアだけ?)。二度とこ のような悲しい事件が起こらないようにするには、もはや基地の撤去しかないのではない でしょうか。 弁護士 福 山 和 人



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