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福山弁護士の「飲み法題」


       

?啄同機(そったくどうき)の妙

 先日、あるTVドラマで「?啄同機(そったくどうき)」という言葉が紹介されていました。 「?」は生まれようとするヒナが卵の中から鳴くこと、「啄」は親鳥が外から卵の殻をついばむこ と、「?」と「啄」が同機すること、すなわち親と子、両者のタイミングが合うこと、これが理想 と言う意味です。  放っておいてはいけないが教えすぎてもいけない。配慮は必要だが先回りしすぎてもいけな い。人をサポートする際、サポートの中身も大事だけれど、そのタイミングが大事ということ なのでしょう。  このことは、親と子だけでなく、教師と生徒、指導者と選手、医師と患者、上司と部下など をはじめ、友人同士、恋人同士などあらゆる人間関係で当てはまると思います。  もちろん、弁護士の仕事も同様です。多くの場合、相談者の方は弁護士事務所に来られるま でに、しんどい思いを味わっておられます。経験的に言うと、まずはそういう思いに共感して ほしいという方が多いようです。そういう方に、合理的な解決策の話ばかりしても、テストの 採点であれば満点でも法律相談としては落第ということになります。  他方で、共感よりも正確な法的アドバイスがほしいという方には、メンタル的な話をしても かみ合いません。  自分自身の仕事が独りよがりになっていないか、日々、「?啄同機」の言葉をかみしめながら 仕事をしていきたいと思っています。 弁護士 福 山 和 人