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米海兵隊は「抑止力」か(その10)
◆日米同盟至上主義の誤り〜安全保障をめぐる世界の流れ
テロとのたたかいを旗印に、2003年にアメリカが始めたイラク戦
争はその後、泥沼状態に陥った。このことは軍事力ではテロ問題は解決
されないという教訓を示すものでああった。
20世紀は戦争の世紀、軍事同盟の世紀であったが、21世紀に入っ
て、国際紛争を軍事力でなく平和的に解決する流れが大勢となりつつあ
る。
東南アジアにおいては、武力行使の放棄と紛争の平和的解決を掲げる
東南アジア友好協力条約(Treaty of Amity and Cooperation, TAC)が、
大きく発展し、2009年7月時点で加入国26カ国、加入国人口約40
億人(世界人口の約60%)に到達している(日、米、中、北朝鮮はい
ずれも加盟)。
2008年5月には南米12カ国でつくる平和共同体「南米諸国連合」
(UNASUR)が設立され、設立条約では、主権平等に基づく多極世
界、核兵器のない世界を目標とし、統合の原則に、主権尊重、領土保全、
民族自決権などを掲げた。
ヨーロッパにおいても、1995年に発足した欧州安全保障協力機構
(OSCE)は2008年現在、56か国が加盟し、地域的安全保障組織と
しては世界最大規模の発展を遂げている。
◆日米同盟至上主義は時代遅れ
こうした動きは、国際紛争を軍事力でなく、平和的に解決する方向が
主流となりつつあることを象徴するものである。
「抑止力論」は、軍事に頼って平和を実現するという20世紀の産物
であって、もはや時代錯誤の理論である。
日本が近隣諸国と密接な経済関係を構築すること、憲法9条を生かし
紛争の平和的解決に努めることこそがこそ、最良の抑止力である。
日米同盟至上主義と抑止力論の呪縛を断ち切り、普天間飛行場の無条
件撤去を求めて、本腰を入れた対米交渉を行うことこそ真の問題解決の
道である。
弁護士 福 山 和 人
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