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空飛ぶ弁護士のフライト日誌─DAY18:女性であること【得した篇】
機長:古川美和
グライダー界における女性の比率は、日本の社会における女性の生存比率に比して著し く低い、といっても過言ではない。 例えば私が属していた某国立大学航空部においては、私が入部した当初、1回生から4 回生まで23人の部員のうち、女性は4名だった。そのうち1回生が3名。あとの1人は 3回生に1人いるのみ。そして8月を待たず、私以外の女性2名は退部していった。訓練 が体力的にきつかったのか、お金ばかりかかって雨が降れば1週間の合宿でほんの数回し か飛べない状況に嫌気が差したのか、やはり木曽川のトイレ等過酷な環境により淘汰され たのか、辞めた理由は心当たりが多すぎて検討もつかない。 当初入部した1回生10人のうち、3回生までで6人が退部し、最終的に残ったのは4 人だけだったのだから、別に辞める比率として女性が高いわけではない。そもそも入部し ないんである。どうしてだろうか。女性は空を飛ぶことにあまり興味がないというのが一 般的傾向なのだろうか。 もっとも、こうした傾向も女性の社会進出が進むに連れて(というのは何ら因果関係が ない)改善されてきた。私の次の代は最終残ったのが4人中1人、次の代に至っては6人 中4人が女性と一気に増え、心なしか華やかになった。私が4回生になったときには、2 3人中6人が女性と、23人中2人(学内OBも含めると33人中3人と、その比率はも っと低くなる)だったころからすれば隔世の感だ。 そう、確かにグライダー界は・・・少なくとも私が入学したころの大学航空部は、どち らかといえば男性優位の社会だった。 でも、女性だからこそ得したこともある。女性だからこそ、注目を集める。2回生のと き参加した東海・関西地区の大学対抗新人戦は、始まって9回目の大会だったが、私が女 性として初めての優勝者となった。確か30〜40人くらいの選手のうち、女性は3,4 人くらいだったから、現在の弁護士会における女性弁護士の比率よりもずっと低い。それ で優勝すると、何というかやはり、話題性があるのだろう。その後も大会で戦績を収める と、やはり注目度が違うのか、新聞やテレビの取材、N●Tや大阪●スの情報誌やスカイ スポーツ専門誌などでも取材をして取り上げられた。大学の体育会5賞の1つにその年に 活躍した女性を表彰するというのがあって、表彰されたりもした(歴代大学学長の名前を 冠した嫌らしい賞だった)。その当時は、この先空の世界で食べていけたらなどと夢想し ていたので、取材に対しては、「女性であるということはハンディもあるけど、それを跳 ね返せばこうして注目してもらえる。それを活かして、もっと活躍して、グライダーとい うスポーツをもっと一般の人たちに知ってもらいたい」とか何とか語っていたと思う。 「♪わ〜かかあ〜った ♪何もか〜もが〜」という曲が聞こえてきそうである。 良いことがあれば当然悪いこともあるわけで、それについては来月また話したいと思う。 なぜここで唐突に話が終わるのか。それはこの原稿の締切が毎月20日であり、今現在は 20日午後11時58分過ぎであり、私が事務所内でこの原稿を集める責任者であるから どうしても締切を守らないわけにはいかないことに加えて、タクシーで駅まで飛ばしても 終電ギリギリの時間であるから大変焦っている、などというクリティカルな状況にある人 間がこんな余計なことをつらつらと書いているわけがないので、きっとそれは嘘である。 というわけで(この接続詞に意味はないが)、この続きはまた来月。ちなみにこれで終 電を乗り過ごして自宅までタクシーとなると5000円近くタクシー代がかかるのだが、 そのお金を誰かが出してくれる、などと言うことはない。大変だ〜! 弁護士 古 川 美 和
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