空飛ぶ弁護士のフライト日誌
空飛ぶ弁護士のフライト日誌
─ DAY34:「イメージ・トレーニング」
機長:古川美和
いろんなスポーツや勝負事の世界で用いられる、イメージ・トレーニング。
グライダー界でも「イメトレ」は(おそらく)もはや常識である。
私の場合は、@大学の授業中、A「道監=道路監視」や「翼端取り」など
訓練中の座っていられる時間、B夜寝る前、辺りがベスト・イメトレポイン
ト(?)。授業中などはボールペンとか棒状のものを操縦桿代わりに右手で
握り、身体を左右に傾けながら旋回の練習をする。空を見上げては、雲の動
きから上昇気流の形を想像し、それをつかまえる様子を「体験」する。
そう、イメトレの達人になれば、想像というより、仮想の世界の中でそれ
を本当に「体験」できるようになる。脈拍も上がるし(たぶん)、手にはじ
っとり汗をかく。
イメージするのは、大抵良いシーンだ。でも、失敗したときは、それを修
正したシーンをイメージしたりもする。何度も、何度もする。
普段の生活の中で、ふいに危ない、という場面を思い出してしまうことも
ある。それは実際に体験したドキドキのフライトであることが多い。そうい
う場合も、「ああ、あのときは怖かったなあ」で終わらせたりせず、そのと
きの自分にもう一度戻って、それを乗り越えてきた自分を再現する。その部
分の記憶と、自分のリズムを何度も追体験し、強化することによって、次に
同じようなインシデントに遭遇しにくくなる。遭遇しても、落ちついて乗り
越えられるようになる。
こういう「イメトレ能力」は、司法試験を乗り越えるときにも大きな力を
発揮したし、今、仕事の中でたとえば証人尋問をしたりする際にも、とても
役立っている。
共通するのは、体験していない事実に基づく根拠のない過信であってはい
けないということ。いろんな可能性、選択肢を予想した上で、選択する。
その選択の際に、心の方位磁針が正しい答えを指したときに「ピピッ」と
アラームがなるように、そういう風に自分を持っていく、それが良いイメー
ジ・トレーニングだと思う。うまく言えないけれど。
忙しくてまとまった時間が取れなくても、職場までの行き帰りや電車の中
で、短時間にできるイメージ・トレーニング。どんな仕事の方にも、オスス
メです。
弁護士 古 川 美 和
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