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黒澤弁護士の"知ってますか"
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寄与分:生前に被相続人の面倒をみてきた!
最近、「父が他界した際、おじが、『生前父の面倒をみてきたから一部相続財産を渡し
て欲しい』と言ってきているとの相談を受けました。今回は寄与分について考えてみたい
と思います。
被相続人が遺言書を書かずに他界すると、法定相続分で相続が開始するのが原則です。
しかし、そうすると、たとえば今まで被相続人と一緒に事業を献身的に行ってきた相続人
と全く音沙汰がなかった相続人が、同じ割合で相続をすることになります。これは、不公
平と考えられますので、法律上、相続財産の形成(減少を阻止した場合を含む)に寄与し
た相続人については、一定相続割合を増やすことで、公平を図る制度が設けられています。
そうすると、上記相談のケースでもおじさんは寄与分の主張が一見認められそうにも思
えます。しかし、法律上寄与分の主張が認められるのは、相続人に限られています。今回
の相談のケースでは、お子さんが相続人になりますので、おじさんは相続人ではなく、寄
与分の主張を行うことはできません。
もちろん、父の面倒をみてきたとの内容が財産に評価しうる労務提供をした場合は、不
当利得として精算を受ける可能性がありますが、親族間の労務提供ですので、特段の事情
のない限り、不当利得として相続財産から精算を受けられる可能性は低いものと思われれ
ます。
弁護士 黒 澤 誠 司
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