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高金利引き下げ・・・のはずが、暗雲立ちこめる状況に・・・
今、弁護士会では、高金利の引き下げを推進するために、市民の皆さんに署名への協力
を訴えています。
親切そうで、親身になって相談に乗ってくれるかのような爽やかそうなコマーシャルの
陰で、借金苦にあえぐ中小業者や個人の方が多数おられます。自己破産する方も後を絶ち
ません。その原因の一つが、高すぎる金利です。
大手サラ金業者が、堂々と宣伝している金利は、実は違法なのです。
本当は、民事的に許される金利は、利息制限法で限度が定められており、元本が10万
円未満なら20%、10万円以上100万未満なら18%、100万円以上なら15%ま
でしか金利を取ってはいけないことになっています。それを越える金利を定めても超過部
分は無効なのです(利息制限法1条)。ですので、28%や29%は違法な金利ですから、
たとえ契約書にそう書いてあっても支払う必要は全くありません。
ところが、違法な金利を取ることが、犯罪となるのかどうかということについては、出
資法が29.2%を越える金利の場合には犯罪とするとしているため、民事的には違法な
金利の中にも、犯罪にならない金利(いわゆる「グレーゾーン」)が存在することになり
ます。そのグレーゾーンを利用して、金融会社は莫大な富を築き上げているのです。
もともと、利息制限法の金利自体、一般の銀行預金の利息が5%程度の頃に、その3倍
程度ならとして定められたものですから、今の預金金利からすると高すぎますよね。
したがって、利息制限法自体も、本当は制限利息の引き下げを図る必要があります。
まぁ、それはともかく、グレーゾーンを撤廃して、利限法の金利にまで引き下げるとい
う多くの要請に応えて、今回の法改正が進められて来ていました。
ところが、金融会社から多くの献金を受け取っている与党議員(自民党議員なんかに多
いですよね)を中心に、少額・短期の融資の場合に上限を超えた金利を認める「特例」を
認めさせようという動きが出てきています。そんな「例外」が認められれば、全くの骨抜
きになりかねません。そんな特例は認めてはいけないのです。
さらには、なんと、今度はとんでもないことに、利息制限法・・・さきほどこの金利さ
え高すぎるといっていたやつです・・・の制限利息を引き上げようとする全く逆行するよ
うな動きまで見えてきたのです。
大手サラ金業者が、自ら掛け金を支払っていた生命保険から債権を回収したケースが2
005年では4万件近くあり、その内自殺によるのではないかと思われる事例が2万件も
あるというニュースも流れています。まさに、命を担保に金を借りているわけです。
そんな中で、利限法の制限利息が引き上げられるなんてことになれば、「命を担保に」
という状況に拍車がかかってしまいます。社会の状況に全く逆行することになってしまい
ます。
何とかして、グレーゾーンを撤廃する必要はありますが、そのバーターとして利息制限
法の利息の引き上げを許すようなことがあってはなりません。
今が正念場です。
日弁、京都弁護士会もすすめており、もちろん我が京都法律事務所も取り組んでいる、
高金利引下げ署名をさらに広げていきましょう。
弁護士 岡 根 竜 介