- ホーム >
裁判員制度その2〜ほんとにどうなるの?〜
裁判員制度その2〜ほんとにどうなるの?〜
前回に引き続き、裁判員制度に関連した話題を。
裁判員制度は、2004年5月28日に法律が公布されており、そこから、5年以内に
実施されます。今急ピッチで準備がされているところではないかと思われます。
裁判員裁判では、集中的に取調がなされることになると思われますので、公判前整理手
続きという制度が新設され、おそらく多くの事件でその制度が適用されることになります。
公判前整理手続き自体は、否認事件などに既に適用されています。ところが、別に争点も
ないような自白事件で、不必要に公判前整理手続きに付されるケースが目につきます。こ
れについては、実際の被告事件を使って、検察や裁判所が、研修のために行っているので
はないかと思われて仕方ありません。集中的に時間を取られることになりますので、対応
する弁護人側とすれば、他の事件や委任事務を犠牲にせざるを得ません。それよりも、研
修に使われる被告人からすれば、拒否できる立場ではないだけに、素直に納得することは
できないのではないでしょうか。
ところで、裁判員制度については、3名の裁判官と、6名の一般の市民から選ばれる裁
判員の合計9名によって、審理がされ、判決が下されると言うことは決まっていますが、
裁判員をどうやって選ぶのか、さらには、被告人・弁護人側としてその裁判員体に対して
拒否をする場合にどうするのか、要するに実際に審理する裁判員がどうやって選出される
ことになるのかの手続については全然決まっている様子はありません。何処で議論されて
いるのかも、極限られたアンテナしか持ち合わせていない私などのところではわからない
のです。アメリカの陪審制などでは、人種構成により結論に差があるのではないかという
議論もされているところです。日本では、アメリカほどはっきりしていなくても(ワスプ
と有色人種など見た目にも「違い」がありますが)、経済的な格差が広がっていると言わ
れる今日、その差による「常識的」判断が異なるかも知れません。
ところが、後数年しか準備期間はないにもかかわらず、判決結果に直接影響しそうな裁
判員を決める手続さえ曖昧なままです。
こんなんで本当に大丈夫なの? と不安になります。
国民の納得云々はともかく、直接不利益を被るのは、被告人であることは間違いないと
ころですから、(例えば、裁判員の数の議論が)なし崩し的に3:6になった経験もふま
えて、きちんと議論してほしいものです。
弁護士 岡 根 竜 介