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落とし物は取り敢えず警察に届けましょう(遺失物法)
財布を拾ったような場合、きちんと届ければ、その中に入っていた金額のおおよそ1割
を拾った人がもらえるということは、何となく知っているかも知れません。しかし、それ
以上詳しく知っている人はそんなにおられないのではないでしょうか。
先日、たまたま、遺失物の報労金に関する判決を得たので、今回は、遺失物法のあらま
しを見てみることにします(遺失物法は2006年に改正されました)。
遺失物法では、財布などを拾った人は、なるべく急いで落とし主や最寄りの警察署長に
届けなければならないことになっています。自分が落とした側になった場合、できるだけ
早く見つけたいですから、急いで届けてもらうことはありがたいことです。
もっとも、最寄りの警察といっても、必ず拾った場所を管轄する警察署長に届けなけれ
ばならないわけではありません。あくまで、「事情の許す限り」においてということです
から、努力義務です。
また、当然のことですが、拾ったものが、覚せい剤やピストルのような普通の人が所持
できないものの場合、落とし主に返さなければならないことにはなりません。
それに対し、返還を受けた人(普通は落とし主)は、その物の価格の5〜20%の範囲
の報労金を支払わなければなりません。ただし、拾った人が、落とし物を返してから、1
ヶ月以内に請求しないと、報労金がもらえなくなります。
また、当然ですが、その物を横領(占有離脱物横領)して処罰されたような場合は、報
労金の請求はできません。
なお、落とし物を拾ってから7日以内に届け出ないと、報労金請求権がなくなります。
落とし物を届けた場合でも、結局落とし主が現れなかった場合(遺失物法の規定により
公告をして6ヶ月以内に所有者が現れない場合)には、拾った人がその物の所有権を取得
します(民法240条)。ただ、その物の保管に費用がかかった場合には、所有権を取得
した人が支払わなければなりません。
まぁ、おいしいとこ取りはダメですよ、ということですね。
弁護士 岡 根 竜 介
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