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岡根弁護士のぼやき論壇

  
  

危険運転致傷罪(不統一な基準?????)

         新聞広告などに、あっちこっちの山登りのツアー企画が紹介されています。それぞれ、 ガイドが付くことが多いと思いますが、それぞれのガイドには、一応、社団法人などが主 催するガイド試験などを受けて資格を受けていることになっています。  以前、講師になるのに資格試験はないといっていましたが、一応山岳ガイドには、ガイ ドの資格があり、職能別資格試験に合格する必要があります。しかし、国家資格ではあり ません。ですので、主催されているところにより、基準が不統一であるようです。  ちょっと調べてみると、資格にも、いろいろあって(冬山や登攀まで含むのか等)、当 然レベルが異なっています。  ところで、道路交通法では、いろいろな用語が使われています。  例えば、「車両」。車両に含まれるものには、自動車、原動機付自転車、軽車両、トロ リーバスがあります。  このうち、「自動車」の定義では、「原動機を用い、かつ、レール又は架橋によらない で運転する車」のことで、そのうち、「原動機付自転車、自転車および身体障害者用の車 いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの以外のもの」をいうとありま すから、自動車には、自動二輪車は含まれても、原付バイクは含まれないことになります。  前回道路交通法の改正を取り上げましたが、これと関連して、刑法208条の2危険運 転致死傷罪も改正されています(自動車運転過失致死傷罪も新設、刑法211条2項)。  2007年版の六法を見ると、対象者は「四輪以上の自動車」を運転しているものに限 られていました。  しかし、2007年5月に改正された現行法では、「四輪以上」が削除されており、単 に「自動車」を運転しているものが対象になります。法務省の解説によると、「自動車」 としたことによって、「自動二輪」や「原動機付自転車」も含まれるとしています。  疑問が残るのは、「自動車」について、道路交通法では、自動二輪は含まれても原動機 付自転車は含まれないことになっており、この点の改正は無いように思えるのに、「原動 機付自転車」を含むと考える根拠です。  どうして、刑法と道交法の解釈が異なるのでしょうか。  この前、家庭裁判所に送致された少年の送致された罪名が「危険運転致傷罪」となって いましたが、彼が運転していたのは、原付バイク(原動機付自転車)でした。  まぁ、事案の内容から見ると、検察官も成人の事件であれば、「危険運転致傷罪」とし ての起訴はしなかったのではないかと思われます。  そもそも、危険運転致傷罪は過失を前提としていると思うのですが(危険な運転である ということ自体の故意は必要)、故意の傷害罪でも15年以下の懲役で、過失致傷だと罰 金・科料のみ、業務上過失致傷でも5年以下、自動車運転過失致傷で7年以下の懲役です が、危険運転致傷罪は15年以下の懲役ですので、故意の傷害と同じ評価ということにな ります。  例えば、大けがをさせてやろうと鉄パイプで人をぶん殴る行為や包丁で斬りつける行為 と、危険な運転をして誤って人を怪我させる行為が同じように評価されているということ です。  基準が不統一に思えてなりません。  危険運転致傷にしても、大型トラックでつっこむことと、原チャリで突っ込むことの危 険が同じには思えません。少なくとも、原動機付自転車は外すべきではないでしょうか。 自動車運転過失致傷で、十分だと思います(原動機付自転車を含むことは明文にして欲し いところですが)。  こんな行き当たりばったりで、ほんまにええんかいな、とため息混じりに考えてしまい                             弁護士  岡 根 竜 介



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