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裁判員裁判(その4)
先日、京都地裁で、危険運転致死罪の事件を題材にした模擬裁判(第10回)
が開かれました。その模擬裁判で、弁護人役をさせてもらい、本番さながらの
裁判を経験してきました。「模擬」裁判と言っても、裁判官役は現役の京都地
裁の裁判官3名、検察官ももちろん京都地検の現役検察官(6名ほどいたか?)
、弁護人役も京都弁護士会会員4名で、一般の事件と同等かもしくはそれ以上
に力を入れてました。
被害者遺族役の方やその代理人役(弁護士会の会員です)も参加しました。
裁判員を務められたのは、これまた本番さながらに一般に無作為に選ばれた
方10名と、協力企業の方から10名の方に呼び出し状が送付され、選任手続
を経て6名の裁判員役が決められ、2名の補充裁判員(裁判の途中で裁判員に
欠員が生じた場合に備えて裁判等を傍聴していたりする)も選ばれました。
模擬裁判ですから特別なルールはあって、今回は「事実関係は争わない」と
いう事になっていましたので、本来ならこの点は絶対突っ込まないといけない
な、という部分であっても触れることができません。これは、検察官も一緒と
いえば一緒ですが・・・
争点は、「情状」のみです。
途中は抜かしますが、結果は、私の感覚からは異例に重いとも思える懲役8
年の実刑でした。模擬裁判の場合、本番ではブラックボックスに入ってしまい
決して情報を得ることのできない「評議」における裁判員役の方のいろんな意
見も、中継されるので、聞くことができます。その意見を聞いていると一部の
裁判員役の人は、被害者遺族になりきってしまっているような感覚を覚えまし
た。これでは勝ち目はありません。
死という思い結果がある場合、どんなにがんばっても、いくら被告人が反省
を深めていても重罰化は避けられない。これが正直な感想です。
家に帰り、かみさんと8年実刑の結果について話しをしていると、「あたり
まえやん」という事。ほんまにこれでいいのだろうか、と考えさせられてしま
いました。
文化の発達ととに広がってきた教育刑という側面が一気に後退させられるの
は避けられないのかもしれません。せめて、ハムラビ法典時代(目には目を式
の応報刑)と同等レベルにまで後退しきらないことを祈ります
弁護士 岡 根 竜 介
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