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えっ! 将来不安で猫殺害?
ニュースを眺めていたら、「将来不安でストレス」猫殺す、という記事が目に
とまった。なんだこれ?と思い、記事を見てみると、まわりが就職していくのに
自分の将来が不安でストレスを感じた、猫が好きなので癒されるかなと思って手
を出したらかみつかれそうになったので、道路にたたきつけて殺害した、として
書類送検したとあった。
猫にはとんだ災難だが、何とも世知辛い世の中だ。
年末にかけての派遣首切りなど、大企業の横暴は許し難い。東尋坊に身投げを
しようと訪れる人が12月に入って急増し、一歩手前で保護された人の半数以上
が職を失った不安という記事もあった。小泉(元首相)の政策の犠牲者が大量に
出てきているということだ。
ところで、猫は、法律的には「物」であり、刑法では「器物損壊」(261条)
の対象となるが、たとえば野良猫などは誰の所有にも属さないため、殺害しても
犯罪にならないはずである。ではなぜ書類送検されたのか。
実は、猫を殺害することは、刑法には違反しなくても、「動物の愛護及び管理
に関する法律」というものがあり、それに違反することになる。
そこには
『 第44条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、1年以下の懲役又
は100万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに給餌〔じ〕又は給水をやめることにより衰弱させ
る等の虐待を行つた者は、50万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、50万円以下の罰金に処する。
4 前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及び
あひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺〔ほ〕乳類、
鳥類又は爬〔は〕虫類に属するもの 』
と定められている。
何となく、江戸時代の悪名高い「生類憐れみの令」みたいな気もするが、たと
えば、蚊に刺されたので蚊をたたきつぶしても、「愛護動物」には当たりません
ので犯罪にはなりません。
コウモリならどうなるんでしょうね?
といっても、あんまりコウモリを飼っている人はいないから問題にならないか。
弁護士 岡 根 竜 介
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