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連ドラ「だんだん」〜なんで特別養子縁組をしなかったの?
NHK朝の連ドラ「だんだん」の中で、主人公のうちの1人めぐみが、戸籍謄
本を取りに行って、生みの母親が実は松江のお母ちゃんではないことを知るとい
うシーンがあった。戸籍には、母親の欄に全く知らない人の名前(祇園の花雪さ
んの本名・一條真喜子)が書かれていた。衝撃を受ける主人公・・・という流れ。
ドラマだから、そういう風にして出生の秘密を知るというのもありかな、とは
思うものの、要らぬ発想が頭をよぎる。何で松江のお母ちゃんとの間で特別養子
縁組をしていなかったんだろう?
特別養子縁組というのは、子と実の親との法的な親子関係を消滅させて、代わ
りに、養親との間に実際の親子関係に近い関係を作り出す養子縁組の方法である
(民法817条の2以下)。特別養子縁組をした場合、戸籍の表示上も実親子関
係と類似する表示となるから、一見しては、実親が誰かはわからない。
ただ、ドラマにあわせて考えると、特別養子縁組で養親となれるのは25歳以
上という要件があるので、再婚当時その要件は満たしていないので断念したのか。
しかし双子が生まれたときドラマでは19歳の設定だったように思うから、25
歳になったときには子はまだ6歳だから、その時点では年齢だけなら大丈夫。
そうすると、子どもの利益の点から見て、そこまでするだけの必要性(要保護
性)が認められなかったのか。
まぁ、お互いが二度と会わないと決めていたと言うことだから、お互いに別れ
て以降の事情を知らせたくなかった、と考えれば、そんなところかなという感じ
はする。
つまり、特別養子縁組は、当事者だけで届け出用紙に必要事項を記載して提出、
というだけではダメで、家庭裁判所の審判を経ないといけないし、そのときには
実親の同意も要る。黙ってはできない。そうすると、特別養子縁組をしようと思
ったら、どうしても再婚の事実などを実母に知らせなくてはならない。「行方知
れず(だから「同意」の有無を確認できない)」と強引にやってしまうことも可
能かもしれないが、ウソはよろしくない。そうすると、この手続はとれないこと
になる。
そのため、ドラマでは戸籍上実親名を消せなかったのは仕方のないところだっ
たのだろう。ということで、とりあえずは納得しておこう。全くもってどうでも
いいことだけど。
余談:ドラマを見ていると大学のキャンパス風景が出てきていた。校舎の入口
は花園大学だが、芝生のある校庭は立命館大学だった。かつては、中央グ
ラウンドとしてソフトボールなどをしていたところが潰されて、新しい校
舎と芝生の庭になっていた。なんかちょっと寂しい気分です。
弁護士 岡 根 竜 介
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