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「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とはいったいなに?
法律相談をしていたり、事件の依頼を受けたりしていると、なぜかしばしば
よく似た事件が重なることがあります。あるときは債務の関係だったり、交通
事故であったり、子どもの取り合いだったり、相続だったりと特に分野は決ま
っていませんが、なぜか重なってしまいます。今日も4件の相談のうち、3件
まで「解雇」が絡んでいました。
そんな中で、今年に入ってから多いかな?と思えるのが、離婚の相談です。
離婚をする場合、話し合いで離婚をしようという場合(協議離婚)には、理
由は特に問題になりません。離婚届を提出すれば、それでいい訳です。
当事者同士では決められなかったので裁判所で話し合いをしようという場合
(調停離婚)でも基本は話し合いですから、理由は何でもいいことになります。
ところが、訴訟となると、一方が離婚を望み、他方は離婚は嫌だといってい
る状況の中で、裁判所が「離婚しなさい」「離婚は認めません」と一方の思い
とは反対の判断するわけですから、それなりの理由が必要になります。
民法770条に離婚原因が決められています。@不貞行為、A悪意の遺棄、
B3年以上の生死不明、C回復の見込みのない強度の精神病、とされているの
に続いて、Dその他婚姻を継続し難い重大な事由、と定められています。
そこで、訴訟で離婚の請求をする場合には、少なくともいずれか1つの理由
を特定する必要があります。
このうち@〜Cまでは、何となくイメージできるのですが、Dはいったい何
を指しているのか、わかりにくくありませんか。
物の本によると、有責主義と破綻主義の対立がある、世界の流れは有責主義
から破綻(はたん)主義なんてことが書いていたりしますが、よく分からない
ですよね。
説明として、「婚姻関係が深刻に破綻し、婚姻の本質に応じた共同生活の回
復の見込みがない場合」といわれるのですが、具体的にどんな事情があるとこ
の場合に当たるのかは、婚姻中の当事者双方の行為、態度、婚姻継続意思の有
無、子の有無・状態、双方の年齢、別居の有無、その期間の長短など、その婚
姻関係に表れた一切の事情を考慮して客観的に決める、のだそうです。
暴力や虐待があれば、その程度にもよりますが認められやすかったりします。
人格を否定するような重大な侮辱がなされたり、犯罪行為(内容にもよりけり
ですが)、長期間の別居などは、「破綻」を認めやすくする要素であるといえ
そうです。
時代によっても、とらえ方や感じ方などは変わってきますので、昭和の時代
には認められなかったことでも、現在では認められるということもあるのかも
しれません。
弁護士 岡 根 竜 介
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