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岡根弁護士のぼやき論壇

  

遺言について〜その2 遺言を書くための制限はあるの?

 遺言を書くには何か条件があるのでしょうか。  一つには、年齢の制限があります。遺言を書こうかなと思うのは、一 般には子どもができて、その子らがそこそこ大きくなってからというイ メージではないでしょうか。 ところが、満15歳になっていれば、(基本的には)誰でも遺言を作 成することができます(民法961条)。満15歳という年齢は、自分 が書いた文書がどのような効果をもたらすのかを理解できる年齢だと考 えられているからです。  生きている間であれば、未成年者の行為は取り消すことができます。 業者にそそのかされて、高い買い物をさせられてしまった!という場合、 親権者である親が「ちょっと待った、それ取り消し!」といえば、契約 をしていない状態に戻せます。民法では、20歳を成人年齢としていま すので(民法3条)、親の同意なくやってしまった行為は取り消すこと ができるのです(民法4条2項)。  それなのに、どうして遺言は15歳でも認められるのでしょうか、と いうと遺言が実際に効力を持つのは、当の本人が亡くなってしまった後 なので、その人の財産を保護する必要性が生きているときよりも低くて もいいからです。それに、人の最後の意思は、年齢が低くても重視しま しょう、ということです。  身分に関する問題では、「15歳」は非常に重要な年齢です。  一方、満15歳という条件を満たしていても、自分の書いた文書のも たらす効果を理解できない場合には、遺言としての効力を認めるのも問 題です。  そこで、遺言を作るときに意思能力が無ければ(自分が言っているこ との意味を理解できないような状態)、遺言を有効と見ることはできま せん(民法963条)。ただ、本人に成年後見が開始している場合でも、 遺言を作成するときに正気に戻っていれば、医師2人以上の立会は必要 ですが、遺言を作成できます(民法962条973条)。  細かい話はいろいろありますが、平たく言ってしまえば、遺言も考え ないとあかんのかなぁ、と思えるような人であれば、誰でも遺言ができ ると思っても大丈夫だということです。  人生何が起きるかわかりません。後でしまったということにならない ためにも(なくなってからは多分そんなことを思えないとは思いますが ・・・)、財産のある人は常に遺言を作成しておいた方が無難なのかも しませんね。                   弁護士  岡 根 竜 介



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