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今回は、「特定商取引に関する法律」(特定商取引法)に関するお話です。
「特定商取引法」ってどういう法律でしょう?
何か特別な商法上の取引に関する法律のように思われる方も多いかも知れません。
しかし、「訪問販売などに関する法律」(訪問販売法)とか、「クーリングオフ」とい
う言葉なら、聞いたことがあるという方も多くおられるでしょう。
訪問販売、通信販売、連鎖販売取引に関し、一定のルールを定めることにより、消費者
被害の防止を図ることを目的として、1976年に制定されたのが、「訪問販売法」です。
ところが、この「訪問販売法」の抜け道を考える新商法がその後続々と現れ、そのたび
に、順次改正などがされてきました。
例えば、「訪問販売」ということになっているので、「訪問」するのではなく、「電話
で勧誘して」契約を結ばせる「電話勧誘」による被害が生じたため、「通信販売」を対象
に加えたり、「対象商品がかなり限定されていたため」対象商品以外のものを工夫して売
り込むことが増加し、「対象商品」を拡大したり、「物」を販売するのではなく、「サー
ビス」を対象にする商法が登場し、「サービス取引」(エステティックサロン、外国語会
話教室等)に関しても適用対象とする等の改正が行われてきました。
そこで、単に「訪問販売」だけではなく、一定の消費者トラブルを生じやすい「特定の
取引」を対象にトラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締
まることにより、消費者取引の公正を確保するための法律として整備されたのが、「特定
商取引に関する法律」(特定商取引法)です。
この法律により、訪問販売、キャッチセールス、電話などにより販売目的を告げないで
事務所に呼び出して販売する商法、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商
法)、エステ・語学教室・家庭教師・学習塾・結婚紹介サービス・パソコン教室に関する
取引、業務提供誘因販売取引(仕事を提供するので収入が得られるといって誘い、仕事に
必要として商品などを売る取引)が、規制対象としてあげられ、クーリングオフ等の消費
者保護の規制が定められるようになりました。
この法律及び省令は、非常に多岐にわたっており、結構ややこしいのですが、一方で、
最近問題となっている「あやしげな商法」や「これはなんとかならないか」とおもわれる
契約については、検討を加えることで、クーリングオフや取り消しなどの主張ができるヒ
ントを与えてくれる「使える」法律でもあります。
次回からしばらくは、この特定商取引法に関わるお話を具体的な事例に沿って紹介して
いきたいと思います。
弁護士 佐 藤 克 昭

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