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「一筆をとる」ということの意味
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年は、主に、「調停」とは何か?ということを、シリーズ的に連載してみま
したが、今年は、まだそういった「連載もの」の構想ができておりません。
ただ、できるだけ、府民の皆様が、法律的な問題に関与されたときに、疑問に
思われていることなどを、題材にして今年も書いていきたいと思っております。
今回は、「一筆をとる」ということの意味についてです。
よく法律相談などで、「先生そうすると一筆もらっておいた方がいいというこ
とですね」等というお話が出ます。
また、「契約書がないとやっぱり駄目ですか」というお話も出ます。
私の答えとして、「そりゃあ一筆書いてもらっておいた方がいいですよ」とい
いますし、逆に「いや契約書が無くても、それなりにいけますよ」ということも
あります。
契約書というものは、お互いの約束事を書面にして確認したものです。
したがって、裁判などで、「どのような約束をしたか」が争いになったときに、
契約書や「一筆」があった方が、「約束」の内容を明確にしやすいということに
なるわけです。
あくまでも本来重要なことは、「どのような約束をしたのか」なのですが、そ
れについて争いがあるときに、「契約書」や「一筆」があった方が証明しやすい
ということなのです。
一方、借家人の方が、先代からの古い賃貸借で「契約書」がないということで、
新しく家主から建物を購入したといって不動産屋から明け渡しを迫られた場合で
も、「契約書」は、あくまでも一つの「証拠」にしか過ぎませんから、外に家賃
を払ってきた「通い」であるとか、領収書等の家賃を支払ってきたという証拠が
あり、そこに長い間住んできているということがあれば、十分に「賃貸借契約」
の成立は証明できますので、「契約書」がなくても、大丈夫ということになるの
です。
弁護士 佐 藤 克 昭

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