Q.公正証書による金銭貸借契約の利点は何ですか?
A.お金の貸し借りをする際、無用なトラブルを避けるため、貸借金額、返済期限、利息などについて借用書などの書面を作成しておくにこしたことはありません。
公正証書は普通の私人間の借用書とは違い、法定の厳格な手続によって作成され、多少の時間と費用がかかりますが、次のような利点があります。
たとえば、せっかく借用書を作成しても紛失してしまえばどうにもなりません。
しかし、公正証書は原本が公証人役場に保管されるため、公正証書の番号がわかればいつでも謄本がとれます。
さらに、重要なことは、金銭の支払については、裁判を起こして判決を受けなくても強制執行ができることです。
金銭の貸し借りの約束を守らず支払われない場合は、裁判所に対して、支払命令や訴えを起こしてからでなければ強制執行できません。そのために、時間と費用がかかることもあり、急を要する場合は仮差押をすることになりますが、保証金を積む必要があります。
通常の公正証書には、返済期限がくればただちに強制執行を受けてもよい旨の強制執行認諾条項がおりこまれています。
その場合、裁判などを省略していきなり強制執行をすることができます。
金銭貸借契約を公正証書にしておく大きな意味がここにあります。