Q:夫は、造船会社の設計技師でしたが、新しい船の自社製エンジンの設計開発を、それまで3人のチームで行っていたものを1人で担当することになり、納期も迫る中で、夜遅くまで仕事をしていましたが、だんだん顔色も悪くなり、おかしいなと思っていたところ、先日自ら命を絶ってしまいました。こうした場合は、労災になるのでしょうか。
A:お話を伺う限り、ご主人の自殺は、仕事によりうつ病を発症してのものと思われます。
こうした働き過ぎにより、精神的なストレスも含め大きな精神的な負担が原因で、うつ病等の精神障害に罹患して自殺された場合は、過労自殺として労災認定される可能性が大きいと思われます。
過労自殺に関しては、厚生労働省より、「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が出されており、これが実質的には、過労自殺の認定基準となっています。
判断指針では、
① 精神障害を発症していること。
② 発症前おおむね6ヵ月の間に、客観的に当該精神病を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。
③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと。
とされています。
さらに、過大な長時間労働が存在する場合には、そのことを加味して判断することも示されています。
「業務による強い心理的負荷」についての判断や、具体的な申請についての準備については、専門知識を有する弁護士にご相談された方がいいと思います。