1. 有給休暇を認めてくれない
労働問題の相談

有給休暇を認めてくれない


 「有給休暇を1週間位まとめて取って海外旅行に行きたいと思っていますが、上司が認めてくれません。」という相談を受けました。
 有給休暇は、日曜などの休日とは別に、労働者が心身の疲労を回復してリフレッシュすることを目的としており、文字通り賃金をもらって休める制度です。
 有給休暇を取るには、使用者の承認が必要だと思っている人もいるようですが、承認はいらず、あくまで「届け出」でよいのです。また、休暇の目的や理由を告げる必要もありませんので、届け出用紙に理由記載欄があったとしたら、削除してもらいましょう。
 このように有給休暇は労働者の自由利用を原則としていますが、労基法は「事業の正常な運営を妨げる」という例外的な場合に限って、使用者が「別の日にしてくれ」ということを認めています(時季変更権)。これは、事業所全体を単位としてみて、仕事の内容、忙しさ、代わりの人がいるかなど、色々な事情を考えて判断します。ご相談のケースも、約1週間連続して休むことによって、事業全体の仕事が阻害されるかどうかが問題になります。上司にどのような支障があるのか聞いてみることも必要です。
 なお、時事通信社の記者が約1ヶ月間の連続休暇を届けたところ、会社がそのうち後半の10日間について時季変更権を行使した事件では、最高裁判所は適法と判断しました。