Q. 飲食店で1年契約のアルバイトをしています。6ヶ月目に、「売り上げが減少気味なので、就業規則を変更して給料を10%カットする」と言われました。勤務時間や勤務内容に変更はありません。応じなければならないのでしょうか?
A. 同意しなければ賃金カットは認められない。
【解説】
【就業規則の不利益変更による労働条件の切り下げ】
〔原則〕就業規則の一方的な不利益変更によって既存の労働条件を引き下げることは原則として許されない。
〔例外〕変更に「合理性」がある場合だけ、同意しない労働者も拘束される。但し、賃金・退職金など重要な労働条件に関する不利益変更は、高度の必要性に基づいた合理性がある場合に限り、同意しない労働者を拘束する。
〔合理性の判断基準〕
①使用者が就業規則を変更することの必要性
②その変更内容によって労働者が被る不利益の内容・程度
③変更された内容の社会的相当性、
④代償措置の有無や程度、
⑤多数派組合との交渉経緯や合意の有無などが総合的に考慮される。
設問のケースの場合、
①賃金は重要な労働条件であり、高度な必要性が必要。
②売り上げが減少気味というだけでは経営上の高度な必要性があるといえない。
③給与の10%カットは少ない金額ではない。
④勤務時間や勤務内容に変更なく代償措置なし。
の事情からすると、不利益変更は認められないと思われる。
【労働協約の締結による不利益変更】
◎労働協約とは、使用者と労働組合との間の、書面による取り決め。
◎労働組合が労働協約を締結したことによって労働条件が不利益に変更された
場合は、原則として反対の労働者も拘束される。
◎ただし、すでに発生している債権についての放棄や支払猶予等を定めても拘束力なし
【就業規則も労働協約もない場合の不利益変更】
合意しない限り、一方的に不利益変更はできない!