1. 会社を辞めさせてくれない
労働問題の相談

会社を辞めさせてくれない


先日、「夜10時を過ぎても残業しなくてはならないひどい職場なので、退職届を出しました。でも、会社は退職を認めてくれないばかりか、出勤しないと無断欠勤だから解雇すると言われています」という相談を受けました。そんなバカなことはないと、早速その会社に手紙を送付すると、あわてて雇用保険等の書類を送り返してきました。「会社を辞めたいのに辞めさせてくれない」という相談も時々耳にします。
 使用者が労働者を解雇する場合には、正当な理由が必要です。一方、労働者が職場を辞めたいと思う時は、雇用期間の定めがない限り2週間前に退職の意思を表示すれば、いつでも辞めることができます(民法627条1項)。あいまいな態度をとらないで、はっきり辞めたいという意思を伝えましょう。使用者が退職を認めてくれない恐れがある場合には、内容証明郵便で退職の届け出をした方が証拠が残るので良いでしょう。雇用期間に定めがある場合は、原則として期間満了まで辞めることはできませんが、やむを得ない事情があれば辞めることも可能です(民法628条)。
 なお、労働者が雇用保険の失業手当を受給するのに必要な離職票を使用者が発行してくれない時は、職業安定所にそのことを報告し、確認請求をしてください。失業手当をもらえる有効期限は、原則として離職の日の翌日から1年以内に限られますから、早く手続きをすることが大切です。