欧米諸国では、女性の管理職、役職者は珍しくありません。日本の場合、男女雇用機会均等法施行後、徐々に女性の管理職も誕生していますが、男性と比べると、まだまだ女性の役職者は少なく、女性に対する昇進差別は残っています。しかし、他方では、「チーフ」「~長」という名称の職についただけで、残業手当等がもらえなくなってしまったという不満も寄せられています。管理職の場合、この残業手当はどうなるのでしょうか。
労働基準法41条2号は、労働時間、休憩および休日の規制を除外するものとして「監督もしくは管理の地位にある者」をあげています。この結果、使用者は、監督管理者である従業員に対しては残業手当を払う必要がないわけです。できるだけ多くの従業員が監督管理者と認められれば、賃金コストが少なくてすむため、必要以上に役職を設ける企業もあるようです。
そのため、厚生労働省では、法の趣旨を徹底するために、単に役職についていればよいのではなく、「一般的には、部長、工場長等、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実体的に判断すべき」としています。
裁判でも、管理職を理由に払われなかった残業手当の請求について、労基法上の「管理監督者」でないと判断し、会社に対し、未払いの残業手当の支払いを命じた判決もあります。