Q:昨年父が死亡し、現在母は1人で暮らしています。子どもは私も含めて3人いますが、いずれもそれぞれ別に世帯を持っています。今後母の扶養をどうしたらよいでしょうか。
A:人口の老齢化が進み、確実に高齢化社会に向かって進んでいます。
しかし、公的な福祉サービスは決定的に不足しており、老人介護をしている人の実に88.8%が女性で占められています。まさに老人問題が婦人問題と言われるゆえんでしょう。
また、自分の老後は誰がみてくれるのだろうと、将来に対する不安を抱いている方もおられるでしょう。
民法では、扶養義務者は、配偶者のほか直系血族(親子・祖父母・孫など)と兄弟姉妹となっており(877条1項)、順序は法律では決められていません。
長男が扶養するのが当然という考えの親や子どもが今も多いようですが、法律的には子どもの間に差はなく、もちろん女性が結婚しても扶養義務はあるわけです。
複数の扶養義務者がある場合、誰がどのような扶養を行うかを決めるには、まず、当事者間の話し合いで、話し合いができない場合は、家庭裁判所がその方法や程度を定めます。
高齢者の側としては、子どもと一緒に暮らしたいと望むことが多いわけですが、高齢者を引き取って扶養することを裁判所が強制することは難しく、同居することになる者全員の意向を尊重して決められることになるでしょう。
したがって、扶養の方法は、原則として扶養料を定期金の形で毎月支払うということになります。