Q:独り暮らしの叔父(亡父の弟)が、高齢のうえに身体をこわして入院しました。私は毎日のように世話をしてきたのですが、いつの間にか叔父の家の隣家の娘が足繁く病院に通い、世話をしだすようになりました。
叔父は次第におかしなことを口走るようにもなってきたのですが、ある日、その娘から、養子になったのでご心配いりませんと言われました。
驚いて区役所でききますと、その前日に養子縁組の届けが出されたということです。
主治医にききますと、かなり精神状態が悪くなっているとのことで、おそらく自分のしたことがよくわかっていないのだと思います。
主治医は診断書を出してくれると言っていますが、この養子縁組はどうにもならないものでしょうか。
A:養子縁組は結婚(婚姻)と同じく、双方が署名した届けを役所に提出することによって成立します。
この届けが作成されて提出される時に、当事者において縁組意思と届出意思が存在することが必要です。
すなわち、養子縁組をするのだという意思が明確に存在しなければなりません。
もし、病気などで精神状態が悪くなり、物事を理解する能力(事理弁別能力)が失われているとすると、届に署名捺印がなされていても無効ということになります。
本件では、医師の診断書をもとに、養子縁組無効確認の訴えを提起することができます。