Q:私は60歳になる男性です。最近体の調子が悪く、私の死後、残される妻の介護が心配です。
そこで、懇意にしてくれている若い女性を養子にして妻の老後の世話を委ねたいと考えていますが、問題があるでしょうか。
A:養子制度は本来は、未成年の子に親を与えて、その健全な育成を図るためのものです。
しかし、わが国では、成年者を養子にすること(成年養子)も認められており、養子の3分の2近くが成年養子だと推測されています。
成年養子の目的としては、本件のように老後の介護扶養の担い手を確保したいという場合があります。
しかし、養子縁組は、当事者の一方が自由に取り消すことができないので、養子縁組後、養子との間の信頼関係が壊れると、縁組の解消、さらには縁組後の贈与の撤回などをめぐって紛争が生じることがあります。
養親子関係を形成し、財産の譲渡を約束したからといって、親身になった世話が必ず保障されるとは限らないことに注意する必要があります。
成年養子をとる以外の方法としては、負担付遺贈や死因贈与という方法があります。
この方法であれば、後で取り消すことも可能です。
しかし、これらの制度では、介護扶養は財産の対価という性格がはっきりしてしまいます。
それぞれの制度のメリット、デメリットを考えて選択をする必要があるでしょう。
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