Q. 私の姪が、結婚の約束をして肉体関係まで結んだ男性に、上司の娘と結婚するからと言われて結婚を拒絶されてしまいました。慰謝料の請求はできるでしょうか。
A.男女が知り合って結婚するまでには様々な段階があり、その間の男女関係全てが法律上の問題を生ずるものではありません。誰を好きになるかと誰と交際するかは、基本的には個人の自由なのです。
ただ、男女の関係が「婚約」にまで進んだ場合には、結婚に対する当事者の期待が現実的になったものとして、法的な保護が与えられます。
すなわち、婚約を不当に破棄された者は相手方に対し、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求することができるのです。
本件の場合、婚約の成立が認められれば、相手の行為は婚約の不当破棄になると思われますので、婚約が成立しているのかどうか、婚約はどのような場合に成立するのかが問題となります。
結納を交わしたり、仮祝言をしたりした場合には明確ですが、このような儀式がなくても、当事者間に、確実に夫婦になることの合意があれば婚約は成立します。
当事者間の約束の有無、内容、交際の期間、肉体関係の有無、同棲の有無などの諸事情を考慮して婚約の成否が判断されます。