Q.婚姻届を出していない妻には、どのような権利があるのでしょうか?
A.結婚式や披露宴を盛大に行っても、婚姻届けを提出しなければ、法律上の婚姻は成立しません。
社会的には夫婦として生活を続けてきたが、届け出がなされていない場合を「内縁」、あるいは最近では「事実婚」と呼びます。1枚の紙切れの違いかもしれませんが、法律上はいろんな不利益があります。
まず、夫が死亡しても内縁の妻には相続権はありません。
また、産まれた子どもも母親の戸籍にはいり、父親との関係は「認知」という手続きがなければ法律上発生しません。
ただ、それではあまりに実質的な関係を無視した結果となるので、たとえば、正当な理由なく一方的に内縁関係をやめた者に対しては、離婚と同じように慰謝料や財産分与を請求できる扱いになっています。
また、労働災害で死亡した場合の遺族補償年金を受けることや、厚生年金保険の遺族年金を受けることも法律上認められています。
ただ、法律上の妻のある男性と内縁関係になった場合はどうでしょう。
一般に保護されるのは、法律上の妻とは事実上離婚状態となって、婚姻関係が修復する余地のないほど形がい化し、他方、内縁関係の方は事実上婚姻と同様の状態にある場合に限られます。
2005年4月21日、最高裁は、前記のように判断して、遺族共済年金について、死亡した男性の戸籍上の妻ではなく、17年間同居していた内縁の妻に年金の給付を認めました。