Q.戸籍制度について教えてください。
A.私たちは、ごく常識的に、日本国民なら誰でも国内のどこかの市町村で保管している戸籍簿に戸籍があると思っています。そして戸籍を見れば父母の氏名をはじめ婚姻や子の有無などの事実を知ることができ、この便利さを当たり前のように受け止めています。
戸籍は、江戸時代には、キリスト教禁圧のために1軒1軒の構成員の宗旨を記入した宗門改帳(あらためちょう)や、賦役徴収のために領民把握の手段として作られた人別帳としてありました。
歴史的に見ると戸籍制度は、国民の便宜のためではなく、支配者の便宜のためにつくられた制度であることを忘れてはならないと思います。
このような戸籍制度は、東アジアの一部を除き世界的にもあまり例がありません。
日本の戸籍に代わり外国には出生や婚姻などを登録する制度があります。日本の戸籍が名の通り「戸」=「家」の記録であるのに対し、欧米のそれは個人に関する記録です。
日本では、本籍という一定の地点を定め、その地で保管する戸籍に婚姻や子の有無などの情報を集中させるのに対し、たとえば英米では出生、婚姻、死亡などをそれが発生した地で登録するだけなのです。
したがって「本籍」も日本特有の概念です。
本籍は生活とかかわりある地である必要はなく、日本国内のどこに置いてもかまいません。
また、何回でも自由に移動することが許されています。