Q.借家について定期借家契約という新しい制度ができたそうですが、これまでの借家人にとって不利なことになりませんか。
A.これまでの借家契約は、期限がきても家主が自分で使う必要がある場合のような正当事由がないと、契約は自動的に更新され、借家人は住み続けることができます。
しかし、今後この定期借家契約を結ぶと、借家人は期限がくれば立ち退かなければなりません。
住み続けたいと思えば、新たな契約締結を家主に応じてもらう必要があり、その時に家主の出す条件を受け入れなければならないことになります。
定期借家契約の期限の定め方の長短に限りはなく、1年未満の契約でもかまわないことになっています。
この定期借家契約で家賃増額の予定が定められていると、これ以外の増額も減額もできません。
このように、定期借家契約はこれまでの普通の借家契約よりも借家人にとって不利な契約と言えます。
ただ、この法改正前(施行前)から、契約がなされている借家契約の更新に関しては、改正された法律は適用されません(附則(平成11年12月15日法律第153号)2条、借地借家法の一部改正に伴う経過措置)。
したがって、従来の借家契約については、家主に正当事由がない限り、更新の拒絶の通知及び解約の申し入れに関しては、借地借家法は適用されません(附則第12条)。
また、現存の借家契約から定期借家契約への切替について、借主の希望である場合は特に問題はありませんが、家主側の希望が強い場合には、借主の十分な意思の確認がなされる必要があり、借主保護の措置がとられなければなりません。
現在の借家契約を定期借家契約に変更するためには、借家人の承諾が必要となりますから、定期借家契約にしてほしいと言われても断ることができます。 ただし契約書のうえでは、「定期借家契約」と書いていなくても、「本契約は期間の満了により終了し、更新がない」と書いてあれば定期
借家契約になりますから、更新の時に新しく結ぶ契約書には十分注意する必要があります。